うつ病による障害年金申請と就労状況の影響

Aさんは長いあいだ、うつ病の治療を続けてこられました。最初に通院された医療機関の記憶があいまいで、受診先が分からないまま、障害年金の申請に大きな不安を抱いていたとのことです。そのような状況で札幌障害年金相談センターへお越しいただきました。

すでに2番目に受診された病院で「受診状況等証明書」は取得されていましたが、その内容には「平成19年頃に精神安定剤を処方されていた」という記載のみで、初診の医療機関名は含まれていませんでした。こうした背景から、初診日が認められるかどうかや、現在就労中であることが受給にどう影響するのかを非常に心配されていました。

申請に際し、検討すべき点は主に2つありました。まず、初診日の証明についてです。たとえ最初の医療機関が不明であっても、他院の証明書にうつ病の治療履歴が確認できる場合、それが初診日の認定につながるかが争点となりました。平成19年から精神的な不調が続いていた事実や、当時から薬が処方されていたことが証明書に明記されていたため、申請ではこの証明書を根拠とし、初診日を「平成19年12月31日」として扱いました。

次に、就労と等級の関係が課題となりました。Aさんは、週3日・1日4時間半という条件で、一般企業にてレジ業務や品出しを行っていました。障害者雇用ではなく、一般雇用として勤務されている状況が、審査の上で不利に働く可能性がありました。一方で、診断書の内容は日常生活における支障が2級に該当するものであり、ガイドラインに照らせば2級の認定も期待されました。ただし、就労状況が等級に及ぼす影響も十分に踏まえて判断を進める必要がありました。

最終的な結果として、Aさんは障害厚生年金3級に認定されました。この認定は、就労の事実と日常生活能力のバランスを踏まえた判断であったと考えられます。札幌障害年金相談センターでは、制度の解釈や申請の進め方について丁寧に説明し、ご本人の状況をもとに適切な対応を心がけてまいりました。