Aさんは、幼いころから人との関わりや日々の暮らしに難しさを感じながらも、精神科には一度もかかっていませんでした。高校時代、別の身体的な疾患で病院に通うようになり、家庭内の複雑な事情も重なって、うつ病を発症された経緯があります。
精神的な治療を受けた期間は長くはありませんでしたが、以前には身体障害を理由にご自身で裁定請求されたことがあり、その際は支給が認められなかった経験をお持ちでした。今回、精神障害の一つであるうつ病による障害年金の申請について、札幌障害年金相談センターにご相談いただきました。
医師が診断書を丁寧に記載してくださったことで、日常生活能力は2級相当と判断され、認定は順調に進むかと思われました。しかしながら、審査途中で認定日に該当する3か月間のカルテ写しと、生活状況に関する照会文書の提出を求める通知が届きました。
札幌障害年金相談センターでは、過去の案件においてカルテ中の一文が不利に働いたことを把握していたため、同様のリスクを懸念いたしました。そのため、まず審査機関にカルテ開示の必要性について確認したものの、明確な理由を得ることはできませんでした。
診断書の内容が十分に詳しかったため、センターとしてはカルテの提出には応じず、必要な情報がある場合には具体的な照会文をご提示いただきたいと申し出ました。その後約1か月を経て再度連絡があり、今回は処方薬に関する情報の追記と、照会文書の提出を求められる形となりました。
この変更に対しては迅速に対応し、診断書へ薬剤情報を追加し、照会文書も札幌障害年金相談センターにて作成して提出いたしました。
その結果、Aさんはうつ病による障害年金の本来請求で2級の認定を受けられました。カルテの写しは提出せずとも、必要最小限の書類対応で審査を通過することができました。