Aさんは大学を卒業した後、技術職として働いていましたが、過酷な労働環境と家庭内の問題から、次第に心の健康を損なっていきました。二十代半ばには、生きる目的を失い、不眠や倦怠感などの症状に悩まされるようになりました。勤務先を早々に辞めて療養に集中するも、改善には至らず、入退院を繰り返す日々が続いたそうです。
三十代になってから、友人の手助けを受けながら障害年金の申請を行い、初回の認定で1級が決定されました。その後も体調は安定せず、通院以外の外出は難しく、引きこもりのような生活が続きました。年金の更新を2度経験しましたが、2度目の際、同様の診断内容にもかかわらず、1級から2級へと判断が変更されました。
この決定に納得がいかず、不安と怒りの感情から、支えてくれた友人にも心を閉ざしてしまったAさんは、信頼できる相談先を探していた最中に札幌障害年金相談センターを知りました。どうにかしたいという思いを抱きつつ、面談の予約を取って来所されました。
最初に、当センターでは提出された資料の内容を丁寧に拝見しました。審査結果が妥当かどうかを検討するため、障害等級の認定基準と照らし合わせながら、慎重に分析を行いました。その上で、Aさんが受けた診断内容や日常生活における困難さが、重度であり常時の援助を必要とする状態に該当すると判断しました。
当センターでは、長期の治療歴や回復の見通しが立たない状況、さらに自傷の危険や生活の自立困難さに基づいて、1級に該当するとの主張を具体的な生活の様子と共に整理し、審査請求書を作成いたしました。
その結果、再審査によって障害厚生年金1級として認められました。Aさんがもう一度、人生に光を見いだすきっかけとなるよう、札幌障害年金相談センターでは今後も丁寧な対応を心がけてまいります。