Aさんは大学入学後から強い倦怠感に悩み、授業を休む日が増えていきました。不眠や不安感、意欲の低下が見られたため、大学内のカウンセラーに相談し、医療機関の紹介を受けて受診されました。診断は思春期うつ病であり、薬物治療とカウンセリングに取り組まれましたが、症状は悪化し、自傷行為が増加していきました。
結果として大学は休学し、自殺企図もあって入院治療が行われました。解離性障害や統合失調症の疑いも浮上しましたが、わずか3日で退院されました。復学は難しくなり、最終的に退学を決意されました。その後も症状の波が続き、転院や入退院を繰り返しながら治療を継続されていました。
Aさんは、働くことが難しい状況に対して何らかの公的制度を探す中で障害年金の存在を知り、専門家に依頼して申請を試みましたが、当時は不支給の結果となりました。家族の支えはあったものの、生活が困難な状況は変わらず、再申請の可能性を検討する中で、札幌障害年金相談センターにご相談をいただきました。
私たちは、前回の申請時に提出された資料を丁寧に確認し、診断書の記載内容が等級に届いていなかった点を把握しました。Aさんの日常生活でのご苦労をしっかり伺い、それを医師に正確に伝えることが鍵と判断しました。
前回の初診証明が制度上再利用可能な条件を満たしていたため、そのまま使用できました。一方で診断書については現時点の状況が必要であり、新たに依頼いたしました。通院歴も再確認し、病歴・就労状況等申立書を丁寧に整えました。
医師との連携の中で、Aさんの実情が正確に診断書に反映されたことが、申請成功の大きな要因となりました。最終的に提出書類全体を社内で確認したうえで申請を行い、結果として障害基礎年金2級の認定を受けることができました。
私たちは、あくまで一つのきっかけとなる伴走者に過ぎません。今後も慎重かつ誠実に、困難を抱える方のお力になれるよう取り組んでまいります。