社会的治癒の活用で可能となった障害年金の受給

Aさんは、十代のころから発作的な症状に悩まされてきました。大学進学や社会人生活を経ても体調は安定せず、勤務先での長時間労働や精神的な圧力によって、症状が悪化しました。生活のあらゆる場面で支障が出始め、心身ともに疲弊する日々が続きました。

一時的には体調が持ち直し、通院を中断していた時期もありましたが、子育てと仕事による強い負担で再び体調を崩しました。その後、通院を再開しても症状は回復せず、働くことが難しい状態に陥りました。今後の生活に対する不安が強まるなかで、Aさんは障害者手帳の取得に至り、制度を調べる中で障害年金の存在を知りました。

手続きについて自ら調べても、自分が対象に該当するのか確信が持てず、長い時間が経過してしまいました。そんな折、札幌障害年金相談センターの情報にたどり着き、ご相談くださいました。私たちは常に寄り添う姿勢を大切にし、必要な情報提供と制度の説明を丁寧に行ってまいりました。

申請を進めるうえで、年金の納付記録に一部未納期間があったことが課題となりました。そこで、私たちは「社会的治癒」という認定基準を検討しました。これは、症状が改善し、一定期間通院もなく通常の生活が送れていた場合に、再発時の通院日を初診日とみなすことができる仕組みです。

Aさんが通院していなかった間も、働きながら社会生活を営んでいた記録や、海外渡航履歴などの客観的な資料を添えて提出しました。その内容から、医師との関係性が再構築された日を初診日とする主張が認められ、障害厚生年金の2級に該当するとの認定を得ることができました。

札幌障害年金相談センターは、あくまで一つの支援機関にすぎませんが、制度に不安を抱く方の力になれるよう、誠実に向き合ってまいります。どんなに小さな疑問でも、一緒に考え、前に進むお手伝いをすることが私たちの務めです。